2020-08-14
デベロッパーとプラットフォームの戦い
ちょうど数時間前、FortniteがApp Storeから削除されました。
ゲームのデベロッパーとプラットフォームについて、大きな転換点となりそうです。
思わずブログを開いて書いてしまいましたが、簡単にまとめておきます。
一応先に宣言しておきますが、私はEpic Games・Appleのどちらかに肩入れするつもりはありません。また専門家ではないので適当なことを言いますがあまりアテにしないでください。
何が起きたのか?
ファミ通さんの記事を読むのが早いと思います。
簡単にまとめると、
- FortniteのデベロッパーであるEpic Gamesは前からデベロッパー:プラットフォームの収益率が70:30であることは不適切であると考えている
- Fortniteアプリ内からApp Storeを介さず直接課金できるようにし、その処理分20%も割引できるようになりました、と提示
- AppleがApp StoreからFortniteをガイドライン違反として削除
- それに反応し、EpicがAppleを訴えると同時に、Appleの過去の1984のパロディCMを真似たプロモーションムービーを公開
- (Google Play Storeからも削除されたらしい?)
という感じです。
7:3という数字の正当性
果たして7:3という数字に問題があるのでしょうか?
まずそもそもからして、プラットフォームの収益率としては7:3は一般的な数字とされています。Steam・App Store・Google Play Store・Microsoftといった大手はほとんどが7:3の数字を採用しているとされています。
Epic Gamesはそもそもこの数字に疑問を抱いており、そういった経緯でEpic Gamesストアを開設しました。Epic Gamesストアでは88:12という数字で示されており、これは他のプラットフォームに比べ大きく割合が異なっています。実際に自社で指標を示しているというところが、今後争っていく中で一つの説得材料になるかもしれません。
比較例としてDiscordはデベロッパーに対してさらに高い収益率である90:10という数字を提示しています。
https://blog.discord.com/why-not-90-10-3761ebef4eab
もっともこの70:30という数字は、プラットフォームを継続的に維持していくという意味では提供されるサービス規模との兼ね合いという測り方をすることもできると思います。
例えばSteamであれば、実績・チャット・掲示板といったコミュニティ機能に加えて、Steam WorkshopのようなUGCの公開・ダウンロードの統括したシステム、極めつけはSteamVRのようなゲームのエンジン部分に係るシステムの提供を行っています。
逆にApp StoreやGoogle Play Storeはプラットフォームとしてはレビュー機能・実績程度の簡素なシステムに収まっていますが、スマートフォンOSという根幹のシステムを提供している部分が異なります。
Discordの場合はよほどコミュニティに提供するサービスが多いのに、収益率90:10はなぜ?とも思えますが、Nitroがあるためプラットフォームの維持費用は別で賄えているとも考えられます。
そう考えるとGoogle Play Storeの場合、Android OS自体はオープンソースで、Google Playアプリなどを入れるために申請するGoogleへのライセンスも無料とされています。そのためAndroidというプロダクトで収益を上げるためには、Google Play Storeで利益を得るのは妥当な行為とも思えます。
その反面Appleは端末代にOS代を上乗せしていることから、iOSというプロダクトに関する収益は出ているように感じます。そこに更にデベロッパにも負荷をかけていることを考えると大きな収益を得ていそうです。
Appleの収益率については米国の議会でも疑問視されているようで、つい最近Tim Cook氏が質問を受けていたようです。
とはいえiOSやAndroidといった端末は魅力的な機能をいち早く提供することによって、実際に生き残ってきたというブランド力・圧倒的なシェアがあることからそれらの対価としてデベロッパが支払うという考えでは、納得できないこともないような気がします。
結局のところプラットフォームにおいては、提供されるサービスと収益率の関係は切っても切れない関係であることは間違いないので、一概に「これです」という明確な基準を設けるのは難しいというのが個人の感想です。
今後どうなっていくのか?
皮肉にも過去のAppleのCMをパロディにすることで、Appleの体制について批判したEpic Gamesですが、アプリを削除されることについては確かにガイドラインに違反したという面もあるので何とも言えないところがあります。
ただ今までここまで巨大なデベロッパーとプラットフォームが戦った例は前例がないように思えますので、一人の開発者としても今後の動きを注視していきたい所存です。